乳製品を摂るとがんに?という噂
最近、「乳製品を摂るとがんになる」という噂を知りました。
父親も母親もがんになって(手術して現在は再発なし)いる身、気になって調べてみるとどうやら、週刊文春の記事が大元らしい。1年も前の記事だったが知らなかった。
週刊文春の2015年10月22日号(10月15日発売)の、P.40「がん治療最前線からの衝撃レポート 乳製品をやめたら、がんが治った」という見出し。
早速取り寄せて元となった記事を読んでみました。
記事を書いた人は、ジャーナリストの森省歩さん。主張するのは、「からすま和田クリニック」院長の和田洋巳先生(元京都大学大学院医学研究科 呼吸器外科教授・京都大学名誉教授)。
要約すれば……
- 仕事柄がん患者さんを問診することが多いが、いずれも「甘いもの」「乳製品」を好む傾向がある
- クリニックを訪れたがん患者さんには「乳製品」をストップするようお願いしている。⇒ストップすると驚くべき著効例が相次ぐ
- 「乳がんと牛乳」というベストセラー本に「IGF-1」という物質にがんの成長を促進する作用があると紹介されている
- 乳製品を断つと再発していた乳がんを克服できた
- IGF-1を含む食材は、チーズ、ヨーグルト、生クリーム、プリン、ケーキ、パン、牛の乳(牛乳)
- 特に牛乳には、IGF-1が多い
- IGF-1は、もともと人の体内に存在し、細胞分裂を促進する大切な物質だ
- 乳製品から大量のIGF-1を取り込むことで細胞分裂が盛んに起き、コピーミスした細胞(つまり癌細胞)が出来やすくなる。
- ただし今のところクリニックの患者を診る限り、本当に乳製品の摂取中止が奏効したのか、(同時に行う)食生活の改善が奏効したのかどちらが良かったのかは判らない
- 牛乳にたくさん含まれる「エストロゲン」も乳がん、前立腺がんのリスクを高める(2008年「厚労省研究班発表」)
- 乳製品は「大腸がん」の発生を抑える効果あり
- 哺乳類には乳離れが存在する以上、人間だけ大人になっても別の哺乳類から妊娠した強烈な成長成分を含む乳を摂取するのは不自然
……とのことです。
確かに”哺乳類のなかで、人間だけ乳離れしないのは不自然”という話は納得がいくような気もします。
業界団体「Jミルク」は記事へ反論
この文春さんの記事を受けて業界団体の「Jミルク」も反論しています。
www.j-milk.jp要約すれば……
- 特定の医療機関の少ないデータを出して「がんが治った」とするのは、その医療機関の”宣伝”に近いのでは?
- 異なった研究報告がある場合は両方の研究を紹介しバランスの取れた情報提供をすべき
- 牛乳摂取とがんについての国立がんセンターの現時点での評価は「データ不足」である
- 日本乳癌学会の見解では、「牛乳を多く摂取している人のがん発生率は牛乳を摂らない人に比べて少し低い」また、全体としてデータ不足。
- IGF-1の血中濃度が高いと、乳がん、結腸がん、前立腺がんになりやすい
- ただし牛乳に含まれるIGF-1は高温で滅菌処理されると消えるか極微量のため、牛乳由来のIGF-1が仮に血中にあったとしても影響は少ない
- 記事の中でJミルクが「牛乳とがん」の関連を認めたような発言があったが、「研究があることを知っている」と答えただけだ
確かに、文春のP.41ページで「ステージⅣの患者も元気に」という見出しがあり、この部分などは個別の患者のことでそれが牛乳と関連しているというのは数が少なすぎて説得力に欠けると思いました。
しかしやはり「IGF-1」が多すぎるとがんになるのは確実みたいです。
高熱処理をすれば「IGF-1」は消えるようなので、牛乳を買う時は処理方法に注目ですね。(未処理の牛乳は危ないかも?)
(日本の牛乳は「超高温瞬間殺菌(UHT 殺菌)」という殺菌方法が主で、120℃くらいの高熱処理を1秒位やっています⇒リンク)
あと「エストロゲン」についてのコメントはないのでやはり飲み過ぎはNGということに変わりはないようです。
では今後どうすればよいのか?
結論から言うと、IGF-1という物質はもともと人間に存在し、細胞分裂を促進するために必要不可欠なものだということらしいです。
ですが、IGF-1を必要以上に外部から摂取する必要はなく、過剰に摂取しなければ大丈夫ということだと思います。(つまりIGF-1不足は良くない)
一方では、牛乳には女性ホルモンである「エストロゲン」が高濃度に含まれ、前立腺がんのリスクを高める(文春P.42)ということですからやはり(飲料の)牛乳はできるだけ摂らないようにして、チーズやバターなどの加工品はたしなむ程度にしようかな?と思っています。
私は、もともと牛乳を飲むとお腹を下す体質のため小学校以来牛乳をほぼ飲んでいません。
ヨーグルトには挑戦しましたが、どうもヨーグルトも駄目みたいです。
乳製品の代替品は?
乳製品に含まれる栄養素、「乳酸菌」「カルシウム」はどんな食べ物から摂るか?
- 植物性乳酸菌 … キムチ、日本酒、ぬか漬けなど
- 動物性乳酸菌 … ビオフェルミン、ラクトーンなどの整腸剤から摂る
- カルシウム … ヒジキ、魚、など
早速明日スーパーでこれらの食材をゲットするつもりです。自然の食材に動物性乳酸菌が乳製品以外から摂れそうにないため、「ビオフェルミン」「ラクトーン」は検索して代替案を考えました。
「ビオフェルミン」はヒト由来の乳酸菌、検索中に知ったのですが、ビオフェルミン同様にネット上では「ラクトーン」というアサヒの作った乳酸菌も人気があるみたいです。(それぞれ、乳酸菌の株?の種類が違うらしいので合う方を選択する必要があるとのこと)
IGF-1は増やす?減らす?
IGF-1を増やしてはいけないという今回の記事でしたが、なんとネット上では「IGF-1」の増やし方が沢山ヒットしてびっくりしました。
IGF-1を増やすとがんになるリスクを高めるのに、IGF-1を増やせと書いてあるのです。
その主張は、主に「増毛」についてでした。増毛するにはIGF-1を増やすほうが良いそうです。
一方では、「IGF-1を増やす」他方では「IGF-1を増やしてはいけない」。片方だけを調べてそれだけに集中すると危ない目に遭いそうです。
増毛をするために、IGF-1をむやみに増やすと癌になるリスクが高まりそうな予感……。(何事にも程々が肝要かも)
まとめ
- 飲料の牛乳は積極的に摂らない … 大量の「IGF-1」+「エストロゲン」が乳がんや前立腺がんのリスクを高める
- 乳酸菌はぬか漬けなどの発酵食品から植物性乳酸菌を、カルシウムはヒジキや魚類から摂る。(動物性乳酸菌に関しては、ビオフェルミンから)
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↑「乳がんと牛乳」の翻訳をした人の書籍